玄関・シューズクローク設計術:収納力と動線で快適な出入りを

玄関は、住まいにおける最初の「顔」といえる空間です。家族や来客が最初に足を踏み入れ、最後に出ていく場所であることから、使い勝手のよさや印象が大きく左右されます。
さらに、この玄関に付随する形で設けられるシューズクローク(SIC:Shoes in Closet)は、靴や傘だけでなく、コート、アウトドア用品、掃除用具など多岐にわたる物を収納する重要なスペースです。
限られた空間の中でどうやって効率的な収納力を確保し、家族や来客がスムーズに出入りできる動線を保つかは、家づくりやリフォームを考える上で欠かせない視点となります。
本記事では、玄関スペースのレイアウト術からシューズクロークの具体的な収納計画、そしてベンチや姿見鏡を使った利便性の向上ポイントに至るまで、事例を交えつつ詳しく解説していきます
日々の暮らしの中で「玄関での動作が面倒だ」「靴や傘が散らかる」「家族の人数や荷物が増えて片付かない」といったお悩みをお持ちの方、あるいは新築やリフォームを検討中の方にとって、お役立ち情報が満載ですので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
玄関スペースレイアウト

玄関のレイアウトは、家族の生活動線と来客用の動線をいかにスムーズに分離または融合させるかがポイントです。加えて、限られた面積でも広く見せるための工夫や収納スペースの確保、プライバシーの保護、防犯への配慮など、多角的な視点からプランニングすることが大切です。
ここでは、具体的なレイアウトの考え方と、住宅会社がどのような設計事例を採用しているかを掘り下げます。
1.玄関を広く見せる工夫

•色彩計画: 明るい色の壁紙や床材を選ぶと、光の反射が増えて空間が広く感じられます。逆に暗いトーンの床材を採用する場合は、壁や天井を白系やパステルカラーにし、照明も明るめに設定するとメリハリが付き、圧迫感を軽減できます。
•照明の工夫: 間接照明を採用し、光のラインを壁際や天井に持ってくることで、奥行きを強調できます。さらに、玄関ドアの上部や足元にダウンライトやスポットライトを設けると、靴の脱ぎ履きの際も手元が明るく、実用面でも役立ちます。
2.土間スペースをどう活かすか

•段差の取り方: 玄関土間を広めに設計し、シューズクロークにつなげるレイアウトも人気です。土間続きで荷物の出し入れがしやすくなり、雨や泥の付いた靴でも室内を汚さずに済むメリットがあります。
•半屋外空間として利用: 自転車やベビーカー、アウトドア用品の一時置き場として利用するなど、柔軟な使い方が可能です。その場合、扉や引き戸で土間部分と室内を分けられるようにしておくと、冬場の冷気や夏場の暑気をシャットアウトしやすくなります。
3.家族用と来客用の動線をどう分けるか
•家族だけが使うシューズクロークの配置: 来客用にはスッキリした玄関ホールを見せたい一方、家族は日常的に多くの靴やアウター、傘などを置く必要があります。そこで、玄関ホールから少し離れた場所にシューズクロークを設け、家族用通路として利用する方法があります。
•プライバシー確保: 玄関ドアを開けてもリビングやキッチンなど家の奥が丸見えにならないよう、目隠し壁を設ける設計が多く採用されています。これによって、来客に必要以上に生活感を晒さずに済み、防犯面にも有効です。
4.玄関収納の基本パターン

•オープン収納: 靴や小物をあえて見せる収納にすることで、ディスプレイ要素を強調できます。一方で、日々の整理整頓が欠かせないため、忙しい家庭ではミニマリスト志向の人に向いています。
•クローズド収納: 扉やカーテンで収納スペースを隠すため、見た目はスッキリしますが、開閉の動作が増える点には注意が必要です。また、狭い玄関だと開き戸のスペースがネックになる場合もあるため、引き戸や折れ戸などを検討してみると良いでしょう。
家族用と来客用動線分離

引用元:セキスイハイム東海HP
玄関のレイアウトを考えるうえで重要なのが動線計画です。家族が日常的に出入りする際の動線と、来客が玄関からリビングや和室などに向かう動線が同一だと、プライバシーを保ちづらくなります。そこで注目されるのが家族用と来客用動線を分離するアイデアです。
1.玄関を2つ設置するケース
敷地や建物の広さに余裕がある場合、メイン玄関とサブ玄関を二重に設けるプランがあります。たとえば、メイン玄関は来客が利用し、土間続きになったサブ玄関は家族が使うことで、靴やアウターで雑然としがちな家族用スペースを隠せます。
勝手口としても機能するため、買い物帰りの荷物をサブ玄関から直接キッチンへ運べるなど、家事動線がスムーズになるメリットも大きいです。
2.1つの玄関をゾーニングで使い分けるケース
建物の面積や予算の都合で玄関が1つしか設けられない場合は、ゾーニングがカギとなります。玄関の片側や奥にシューズクロークを設けて、そこからキッチンやリビングへ抜けられる専用通路を作るのです。
これにより、来客は正面の玄関ホールからリビングへ向かい、家族はシューズクロークを通って日常動線を確保できます。プライベートなアイテムを来客に見せずに済むため、生活感をコントロールしやすいのが利点です。
3.メリットとデメリット
•メリット:
•プライバシー保護(家族の生活空間が見えにくい)
•収納が分離されるため整理整頓がしやすい
•家事動線を短縮できる(買い物袋をすぐキッチンへ運べるなど)
•デメリット:
•動線分離に必要なスペースが増える
•建築費や設計費が上がりやすい
•広さに余裕がない住宅では実現が難しいケースもある
シアーズホームのSIC例

引用元:シアーズホームHP

引用元:シアーズホームHP
玄関から直接シューズクロークへつながる事例として、熊本県を拠点に展開するシアーズホームの設計プランがよく引用されます。以下では、シアーズホームのSIC(Shoes in Closet) 事例をもとに解説します。
1.土間続きの大容量収納
シアーズホームでは、玄関の隣に大容量のシューズクロークを配置し、土間を延長する形で靴を脱がずに荷物を運び込める設計を採用することが多いです。これは、雨で汚れた靴やアウトドア用品などをそのままクロークに収納できるため、室内を汚さずに済むのが大きなメリットです。
2.動線の工夫
シアーズホームの例では、シューズクロークを通り抜けてキッチンへアクセスできる裏動線を確保しており、家族用玄関としても機能しています。来客は玄関ホールからリビングへ向かうため、シューズクローク内を見られることなくプライバシーが保たれます。
3.収納力と換気
可動棚や造作棚を設け、ブーツやスポーツ用品など高さがあるアイテムも収納しやすい作りになっています。また、湿気と臭いがこもりやすいシューズクロークだからこそ、換気扇や小窓を設置して空気を循環させる工夫も欠かせません。カビやニオイ対策に加えて、採光を取り入れることで暗くなりがちなクローク内でも物が探しやすくなります。
4.家族構成に合わせたカスタマイズ
シアーズホームでは、子どもの年齢や趣味に合わせて棚の高さや仕切り方を変えるなど、オーダーメイド感覚でプランを練ることが可能です。家族構成が変わっても対応しやすく、ライフステージに合わせて使い続けられる点が魅力です。
会社名 | 株式会社シアーズホーム |
所在地 | 熊本県熊本市南区馬渡2-12-35 |
電話番号 | 096-370-0007 |
設立 | 平成元年1月17日 |
対応可能エリア | 熊本県、福岡県、佐賀県 |
公式サイトURL | https://searshome.co.jp/ |
Googleレビュー | レビューなし |
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シューズクローク収納計画

シューズクロークは、単なる「靴置き場」ではありません。靴や傘、コートなどの日常的に使うアイテムから、掃除用具、非常時の防災グッズ、アウトドア用品など、多彩な物を収納するスペースです。用途に合わせた計画的なレイアウトを行うことで、散らかりがちな玄関まわりをスッキリ保ちやすくなります。
1.アイテムの洗い出しと優先度付け

シューズクロークを設計する前に、まずは家族がどんなアイテムをどれくらいの頻度で使うかをリストアップしましょう。
•高頻度アイテム: 毎日履く靴、通勤通学バッグ、雨傘などは取り出しやすい位置に。
•中頻度アイテム: 季節物の靴(ブーツやサンダル)、レインコート、ベビーカーなどは腰より下か、少し奥まった場所へ。
•低頻度アイテム: スポーツ用品、DIY用具、防災グッズなどは最上段や最奥部にまとめて収納。
2.可動棚と固定棚の使い分け

•可動棚: 靴や荷物の大きさに応じて棚板の位置を変えられるので、季節変化や子どもの成長に合わせて柔軟に対応できます。
•固定棚: 頻繁に出し入れする物を置く部分は、あえて固定棚にして安定性を確保するのもアリです。重いアウトドア用品などを置く場合は、強度を考えて棚を設けましょう。
3.フックやバーの活用
シューズクロークの壁や天井にフックやバーを取り付けると、傘やコート、掃除用具など長さのあるアイテムを掛けられます。収納ケースに立てると倒れやすい物や、濡れたまま放置するとカビが発生しやすい物でも、壁掛けで通気性を確保しつつ保管できます。
4.防臭・防湿対策
•換気扇の設置: 常時換気できるようにすると、靴のニオイや湿気がたまりにくくなります。
•調湿剤や炭の活用: 除湿剤や炭を設置してニオイ・湿気対策を強化すると、靴や衣類の劣化を防ぎやすくなります。
•ルーバードア: 扉にルーバー(隙間のある板)を採用し、通気性を高めることでクローク内を快適に保ちやすくなります。
靴・傘・掃除用具整理

玄関で最も散らかりやすいのが靴や傘、掃除用具などの日用品です。これらを効率よく整理できるかどうかで、玄関全体の美観と使い勝手が大きく変わります。
1.靴の収納術
•仕切り付きラック: 家族一人ひとりの靴を仕切って収納すれば、誰の靴がどこにあるのかすぐ分かり、朝のバタバタを軽減できます。
•シーズンオフの靴保管: 使わない季節の靴は箱詰めして最上段に置き、無駄な取り出しを防ぎます。箱にラベリングすれば探す手間も省けます。
•ブーツ専用スペース: 高さがあるブーツは折り曲げるとシワや型崩れの原因になるため、縦長のスペースを確保し、ブーツキーパーを入れて保管しましょう。
2.傘の収納術

•壁掛けタイプの傘立て: 狭い玄関では、床置きタイプの傘立てが邪魔になりがち。壁掛けフックやマグネット式傘ホルダーを使うと省スペース化が図れます。
•水受けトレーや受け皿: 濡れた傘から滴る水を受けるためのトレーや受け皿を用意しておくと、床が水浸しにならずにすみます。
•折りたたみ傘の収納: 小型ポーチやファイルケースなどを利用し、折りたたみ傘をひとまとめにしておくと、いざというとき探しやすくなります。
3.掃除用具の整理

•ホウキやモップの収納: 長い柄の掃除用具は立てかけるだけだと倒れやすいので、フックやクリップで壁面に固定するのがおすすめ。
•掃除機やロボット掃除機の拠点: 玄関近くを掃除する頻度が高い場合、シューズクロークの片隅をロボット掃除機の基地とすると便利です。充電用コンセントを確保しておきましょう。
•靴磨きセットの管理: 靴磨きクリームやブラシ、シューキーパーなどは小さいボックスにひとまとめにして保管しておくとスムーズです。
コムハウスでの工夫

引用元:コムハウスHP
コムハウス(自然素材やオリジナル造作家具などを得意とする工務店)では、シューズクロークを造作棚と可動棚で組み合わせ、デザイン性と機能性を両立させる事例が多数あります。
1.オリジナル造作棚
シンプルな棚板だけでなく、木の質感を活かした造作家具をシューズクロークに設置することで、「隠す収納」と「見せる収納」の両方を実現できます。例えば、ベンチ一体型の造作収納であれば、腰掛けを設けつつ下部に靴や掃除道具を収納できるといった柔軟なデザインが可能です。
2.可動棚とカゴ収納のコラボ
コムハウスの事例では、可動棚の一段一段にカゴをぴったりと収めるレイアウトも人気です。各カゴに「子ども用」「アウトドア用品」「掃除用品」などラベルを付けることで、アイテムごとの仕分けがしやすくなります。
3.通気性を意識した工夫
玄関近くは湿気がこもりやすい場所なので、通気孔や小窓の設置、ルーバードアの採用などを積極的に行っています。さらに、天然木材を使うことで調湿作用が期待でき、カビやニオイの発生を抑える役割も果たします。
4.統一感のあるデザイン
コムハウスでは、玄関ホールから続く床材や壁材と造作棚のデザインを合わせることで、空間全体の統一感を演出します。シューズクロークも家の一部として自然に溶け込み、生活感をうまくカバーしながらおしゃれに収納力を高めることができます。
会社名 | 株式会社コムハウス |
所在地 | 熊本県熊本市東区神水本町27-21 |
電話番号 | 096-285-6667 |
設立 | 2002年1月 |
対応可能エリア | 熊本県内全域 |
公式サイトURL | https://www.com-haus.net/ |
レビュー |
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ベンチ・姿見鏡配置で利便性向上

玄関やシューズクロークをより使いやすくするには、ベンチや姿見鏡(大型の鏡)を取り入れるのがおすすめです。靴の脱ぎ履きが快適になり、外出前や帰宅後の動作もスムーズに行えます。
1.ベンチ設置のメリット
•靴の脱ぎ履きが楽: 立ったままブーツや子どもの靴の紐を結ぶのは地味に負担がかかりますが、ベンチがあれば腰掛けながら作業でき、特に高齢者や妊婦の方にも優しい設計となります。
•一時置きスペース: 買い物袋やカバン、荷物を一時的に置けるので、両手が塞がっているときもゆとりを持って行動できます。
•収納付きベンチ: ベンチ下に収納スペースを設け、靴などをしまえると玄関がスッキリします。取り出しやすい位置にあるため、日常使いの靴や掃除用品を収めるのにも便利です。
2.姿見鏡の役割

•身だしなみチェック: 出かける直前に全身を確認できるので、服装の乱れや忘れ物にすぐ気づけます。
•空間を広く見せる: 大型鏡は光を反射して奥行きを生むため、狭い玄関でも圧迫感を軽減し、明るく開放的に演出できます。
•照明との相乗効果:鏡付近にライトを配置すると、反射効果でより玄関周りを明るくし、夜間でも安心して靴の脱ぎ履きができます。
3.安全性と配置
ベンチや鏡を置く場合は動線を妨げない位置取りが重要です。特に狭い玄関で大型家具を置くと動きにくくなる恐れがあるため、事前にスペースをしっかり測ってプランニングしましょう。また、鏡には飛散防止フィルムを貼る、角が丸いデザインを選ぶなど、安全面への配慮も必要です。
4.デザインの工夫
•ベンチの素材選び:木製、クッション付き、金属フレームなど多種多様です。インテリアの雰囲気に合わせて選べば、玄関のアクセントにもなります。
•鏡と収納の一体化: 鏡を開くと裏側に収納スペースがあるタイプなど、複合的な機能を持つ家具もあります。玄関の狭いスペースを有効活用したい場合におすすめです。
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帰宅後のスムーズな身支度

ベンチや鏡を設けた玄関・シューズクロークは、外出前の準備だけでなく、帰宅後の動作をスムーズにするための大きなポイントとなります。
日々生活していると、つい外出時の利便性ばかりに目が向きがちですが、疲れて帰宅した際に靴やコート、荷物を整理しやすい動線が整っていると、家の中に余計な汚れを持ち込みにくくなるだけでなく、ストレスの軽減にもつながります。
家族が多いほど荷物や靴の量は増えるため、最適な収納や導線を整備しておくことが重要です。ここでは、帰宅後の行動をより快適にするための4つの視点について詳しく解説していきます。
1.コート掛けやカバン置きの導線

帰宅後、雨で濡れたコートや土埃が付いたカバンなどをそのまま家の奥まで運び込むと、床や壁、家具が汚れる原因になります。特に梅雨の時期や雪が降る地域では、衣類が濡れる機会が増えるため、余計に家の中が汚れがちです。
そこで、玄関付近にコート掛けやカバンを置くためのフックやハンガーポールを用意しておくと、これらの問題がかなり解消されます。
たとえば、玄関の土間スペースやシューズクロークの入口付近にポールやフックを設けておけば、帰宅した瞬間にコートを吊るしておくことができるので、家の中へ水滴や泥を持ち込まずに済みます。
さらに、シューズクローク内に小さな棚を設置しておけば、ショッピングバッグやリュックなどをポンと置いておくことも可能です。
こうした導線づくりは、「汚れを玄関で止める」という点で効果的であり、ほかの部屋の掃除頻度を減らすことにもつながります。子どもがいる家庭なら、ランドセルや習い事用のバッグなどを置くスペースを決めておけば、翌日の準備がしやすくなり、探し物の時間も大幅に削減できるでしょう。
2.荷物の仕分け

家族の人数が増えるほど、玄関に持ち込む荷物も多様化します。仕事や学校、買い物、趣味など用途が違えば荷物の種類も増え、帰宅後の片付けが煩雑になりがちです。このとき、玄関やシューズクローク内を個人ごと、または用途ごとに仕切っておくと、整理整頓が圧倒的にスムーズになります。
たとえば、家族それぞれに専用のボックスやラックを割り当てる方法があります。子どもなら「上段が学校関連のアイテム、下段が習い事の道具」などのようにルールを決めておくと、どこに何を置けばいいか明確になり、部屋まで持ち込まなくても玄関で荷物を整理できます。
また、郵便物やチラシなどは、すぐに必要なものと不要なものをその場で仕分けし、不要なものは玄関近くに置いたゴミ箱へ直行させるなど、「家の中に持ち込まない」工夫をすると余計な clutter(散らかり)が溜まりません。
こうした仕分けシステムをつくると、なくし物や探し物に時間を取られることが減り、家の中がいつも片付いて見えるようになります。
特に忙しい朝や帰宅後の限られた時間でも、ストレスなく荷物を管理できる点が大きなメリットです。
3.手洗い動線の確保

引用元:クラシスホームHP
健康や衛生面への意識が高まる中で、「玄関近くに洗面台を設置する」という設計が注目を集めています。帰宅後、花粉やウイルスなどを服や手に付着させている場合、すぐに手洗い・うがいをできる環境があると、リビングやキッチンへのウイルス持ち込みを抑制できます。
玄関と洗面台、あるいはシューズクロークと洗面スペースを直接つなげる動線を確保しておけば、リビングなどへ行く前に手や顔をサッと洗って清潔を保つことが可能です。特に子どもは外遊びで泥だらけになりやすいため、玄関近くで洗える環境があると、部屋の床や壁を汚さないですむでしょう。
さらに、手洗いスペースに収納棚やハンガーなどを一体化させれば、濡れたタオルやハンドソープのストックなどをまとめて管理でき、雑然としがちな洗面周りも整頓しやすくなります。玄関という家の「入り口」に近い場所で完結できるため、家事動線も短縮され、家族全員の衛生管理がぐっと楽になるのです。
4.ロボット掃除機との組み合わせ

近年では、掃除を手軽に自動化できるロボット掃除機の普及が進んでいます。玄関やシューズクロークに専用の充電スペースを設けておけば、土間周辺の掃除をロボット掃除機に任せることが可能です。
特に、外出先から戻った際に玄関で土埃や砂利がこぼれることはよくありますが、ロボット掃除機がこまめに稼働してくれると常に清潔に保ちやすくなります。
ただし、土間部分や段差がある場所では、ロボット掃除機が乗り越えられない場合もあるため、動線に合わせて段差をなだらかにしておく、またはロボット掃除機が掃除しやすいスペースを確保しておくと便利です。
機種によっては障害物検知センサーの性能が異なるため、あらかじめどの程度の段差なら越えられるか確認しておくと安心です。
また、ロボット掃除機の充電基地を見せたくない場合は、シューズクロークの下部や扉付きの収納スペースを活用する方法もあります。小さなスペースを設けて充電基地を隠すことで、見た目をすっきりさせつつ掃除効率を落とさないレイアウトを実現できます。
日々の掃除負担を軽減し、いつでも玄関を快適な状態に保てるのは、現代の忙しいライフスタイルにおいて大きなメリットといえるでしょう。
ベンチや姿見鏡のある玄関・シューズクロークは、外出の際だけでなく、帰宅時の“ひと手間”を省くための重要な仕組みでもあります。コートやカバンをサッと掛けられ、荷物を簡単に仕分けでき、すぐに手洗い・うがいを済ませる環境が揃っていれば、家の中を汚さず、不要な動きを極力減らせます。
さらにロボット掃除機を組み合わせれば、ホコリや泥の処理も自動化でき、いつでも玄関を清潔にキープすることが可能です。帰宅後の心身をほっと休めるためにも、「玄関で完結できることは玄関で済ませる」という視点を取り入れて、動線や収納の設計を検討してみてはいかがでしょうか。
地域工務店提案事例

地域に根差した工務店でも、玄関とシューズクロークの動線分離やベンチ・姿見鏡の設置を積極的に提案する事例が多数あります。地域工務店は地元の気候や風土をよく理解しているため、その土地ならではの工夫も盛り込まれています。
1.雪国や雨の多い地域での設計
•土間を広めに確保: 濡れた靴や傘、雪かき道具などを置いてもスペースに余裕があるようにすることで、室内への泥・水の侵入を最小限に抑えます。
•乾燥設備の活用: 玄関やシューズクローク内に温風ヒーターや除湿器を設置できるスペースを確保し、冬場や梅雨時期でも乾燥状態を保ちやすくする工夫が見られます。
2.ベンチや段差を利用した収納
玄関土間と室内フロアの段差を利用し、腰掛け兼収納として造作ベンチを作るケースもあります。地域工務店ならではの木材選定や仕上げが楽しめるのが魅力です。
3.地産地消の素材の活用
その地域で採れる木材や石材を活かし、統一感のある仕上がりにするのもポイントです。自然素材は調湿効果が期待できるため、シューズクロークの湿気対策にも有効です。
4.コミュニケーション重視の設計
地域工務店の場合、顧客との密な打ち合わせで要望を細かく取り入れやすい利点があります。たとえば「子どもが多いのでシューズクロークは二列体制に」「高齢者が同居するからベンチの高さを調節したい」など、ライフスタイルに合わせたオーダーメイド設計が実現しやすいのです。
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まとめ

玄関とシューズクロークを一体的に考えることで、収納力と動線の最適化が可能になります。家族用と来客用の動線を分離すればプライバシーや整理整頓の面でメリットが大きく、ベンチや姿見鏡を取り入れることで靴の脱ぎ履きや身支度がスムーズです。
シアーズホームのような土間続きのSIC事例や、コムハウスの造作棚活用など、各社のプランには多様なアイデアが詰まっています。
地域工務店の提案事例では、気候や風土に合わせた柔軟な設計や自然素材の活用が特徴です。新築やリフォームを検討中の方は、ぜひ動線分離と収納計画を玄関設計の優先事項とし、家族全員が快適に使える空間を目指してみてください。
最後に、玄関は家の第一印象を左右する大切な場。あなたのこだわりを盛り込み、理想的な住まいを実現しましょう。
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